『芥子の花(金春屋ゴメス)』 西條奈加 新潮社

キャラの描写に深みが出て、

更に良くなっている。
月面都市もある未来に、

日本国内に誕生した独立国家江戸の、

長崎奉行所のメンバーを主人公にした本シリーズの

今回の敵は麻薬密売組織である。

ラストの大活劇で長崎奉行のゴメス様が、

黒王号じゃない黒鬼丸に跨って大活躍するのが、

お約束のパターンだとは予測出来るが、

素直に登場せずに一捻りあるのも良かったです。

エコ国家江戸の政治政策や経済政策も深みが出て、

まさにこの江戸は理想国家!

エコの為に江戸時代のテックレベルの制限をつけるのは素晴しいが、

政治形態も江戸時代のままの封建主義だと知恵が無さ過ぎる。

この未来の江戸にも身分制度はあるが、

武家世襲制ではないのも素晴しい!

武家試験に合格しないと、

武家の息子でも武士になれずにお家取り潰しになるのである。

文武心の三科目の総合成績で武士になれるのである。

政治家が世襲制みたいになってる現代日本より、

はるかに民主的w

主人公が人殺しの嫌いな性格なのも素晴しい!

愛する者を守る為であっても敵は殺したくないと、

主人公が剣術ではなくて棒術を学ぶのも素晴しいです。

素手で戦うのが理想だが、

剣道三倍段の法則があるので、

努力のコストパフォーマンスで、棒術を選ぶのがリアル。

ついでに忍術も学びますw

ラストに明らかになる敵組織の正体も凄い。

資本主義国家が発展するには無限の経済成長が原則。

成長率をゼロに抑えたエコ国家江戸は、

発展した資本主義国家が先進国とされる世界の常識に反する。

江戸は世界の敵とされ、滅亡するのか?

三作目がデラ楽しみである。

芥子の花 (金春屋ゴメス)

芥子の花 (金春屋ゴメス)