『残虐記』 桐野夏生 新潮文庫

新潟柏崎少女監禁事件をネタにした小説だが、

一年間の監禁生活(史実は9年だったか?)で、

25才の変態青年は10才の美少女に挿入しないという、

パターン外しの傑作。

裸にして見ながら自慰するだけの本物の変態w

少女が救出された後に、

青年の家の庭からは死体が発見されるのだが、

マスコミの期待を裏切って20過ぎの成人女性なのも痛快。

青年が少女と夜な夜なプレイしていた変態プレイは、

学校ごっこである。

小学校も満足に出てない青年は、

毎夜、少女と小学校の勉強をするという究極の変態w

小学生と一緒に学校の中に存在したいと考える教師が、

いかに変態であるか揶揄した傑作。
少女が誘拐される前に目撃者がいっぱいいた筈なのに、

目撃者が見つからないのも素晴しい。

普通の大人は街にいる少女になんて興味を持たない。

少女を目で追うのは変態だけだと看破した傑作。

性的いたずらはされなかった少女だが、

救出後、世間は当然いたずらされたと思い込む。

少女は世間から自分の心を守る為、

想像の世界に逃げ込み、

事件の真相を推理する。

想像力が先鋭化した少女は小説家としてデビューする。

35才になった彼女が事件を元にして書いた小説というのが、

本書であるという構成である。

経験してない男の性欲を小説として追求する果てに、

801に行き着く想像力が素晴しい!

現実と同じように少女が犯されて殺される小説を書いて

満足している小説家は想像力が貧困過ぎる。

桐野夏生 の想像力の素晴しさに打ち震える傑作である。

残虐記 (新潮文庫)

残虐記 (新潮文庫)