『冷えきった週末』 ヒラリー・ウォー 創元推理文庫

フェローズ署長シリーズ。

本書のベストセリフ

「ベッドでは解決できない問題がある」


推理小説は問題を解決するカタルシスを楽しむものなのに、

余分なベッドシーンを書く作家は知的レベルの低いアフォですな。

人間に生まれた最高の楽しみは知的好奇心を満たすことなのに、

異性とベッドインすることだけを考えて生きている奴は人生を損してますな。

警察小説だが、期待以上に本格推理である。
解説ではエラリー・クイーン の「オランダ靴の謎」と「ギリシャ棺の謎」に比較してます。

私は本書のトリックの感動は、

コナリー の「ラスト・コヨーテ」 にもっとも近いと思いましたが…。

純粋にトリックに感動するのなら、

エラリー・クイーン (後期は除く)やジョン・ディクスン・カー を読めばいいわけで、

ヒラリー・ウォー の売りはトリックではなくて、

人間としての素晴しい生きる姿勢が描かれていることだと思う。

ようはプロの矜持ですな。

警官の仕事は犯人を逮捕すること。

被害者に同情せず、加害者を憎まず、

捜査マシーンに徹して物的証拠を集める警官達のなんとかっこいいことよ!

ヒラリー・ウォー の作品はけっこうネタ被りが多そうだが、

理想の人間とくだらない犯人を描くのだから、

そうなるのも仕方がない。

人間は反復学習しないと身につかないものだ。

ヒラリー・ウォー を何度も読んで、

素晴しい理想を心に刻め!

ヒラリー・ウォー の芸術観は栗本薫 に似ていると思う。

本書の被害者が愛したものと、

加害者の本質は同じだと気付きましたか?

犯罪者体質の人間は、やはり、

アレとアレを職業にしたがるもんですなw

冷えきった週末 (創元推理文庫)

冷えきった週末 (創元推理文庫)