『ジュークボックス』 山田正紀 徳間書店

生体工学兵器にジャックインするサイバーパンクであり、

謎の存在との戦争ものであり、

生命言語を描くメタフィクションであり、ハーラン・エリスン

「北緯38度54分、西経77度0分13秒、ランゲルハンス島沖を漂流中」

へのオマージュでもある。
例によって並のSF作家の3倍以上のアイデアをぶち込んでいる凄さ。

50年代アメリカの青春小説でもあります。

どれかひとつのネタだけでも傑作と言われるだろうに、

二つの現実に見事に説明を付けるラストも素晴しい。

アーサー・C・クラーク の「2010年宇宙の旅」 の結末にぶっ飛んだ方は、

ぜひともこれを読んで欲しい。

機械知性と人間知性の関係においても、

センス・オブ・ワンダーが大爆裂します。

重厚な大長編ではなくて、短編連作形式なのが軽く思われて減点する人もいそうだが、

『宝石泥棒』 や『エイダ』 に匹敵する認識論SFでもある。

ジュークボックス

ジュークボックス