『風雲の出帆―海の覇者トマス・キッド〈1〉』 ジュリアン・ストックウィン 早川文庫NV

『男は旗』 を掲げ、大海原に旅立つべきざんす。

というわけで、18世紀の帆船に乗りたい人はこれを読め。

『秋の星々の都 [永遠の戦士フォン・ベック②]』 と同じ時代である。

メジャーな事件で言えばバウンティ号の叛乱から四年後が舞台。
カツラ職人トマス・キッドは、ギルフォードの村に現れた

強制徴募官に拉致され、戦列艦「デューク・ウィリアム」に乗る羽目になる。

三等水兵以下の陸者という身分。

給料ゼロの奴隷みたいなもん。

水兵としてのセンスを認められ、

この巻の途中で三等水兵に任命され、

殊勲を立て、二等水兵に出世して物語は終わる。

全11巻でキッドが提督にまで出世していく過程を描くらしい。

普通の帆船小説は、士官候補生から始まるが、

これは水兵以下の身分から始まるので、

新しい帆船小説として絶賛されたそうな。

海洋冒険小説としてはもちろん、

女王陛下のユリシーズ号』 には劣るが、

敵との戦闘が発生してないのに、

航行するだけで乗組員がボロボロ死んでいく、

危険な帆船の世界は男気溢れていて興味深い。

フランスに上陸して敗走して逃げ遅れて、

フランスに取り残されて陸での脱出行の過程で、

フランス人の女に遭遇したのは欠点だが、

イギリス領土内でも上陸休暇は無かったので、

セクースシーンがない男気率の高い作品である。

読書予定としては、5年以内に最新刊に追いつくつもりである。

2巻では水曹長まで出世すると予測するがどうよ?

風雲の出帆―海の覇者トマス・キッド〈1〉 (ハヤカワ文庫NV)

風雲の出帆―海の覇者トマス・キッド〈1〉 (ハヤカワ文庫NV)