『昭和陸海軍の失敗―彼らはなぜ国家を破滅の淵に追いやったのか』 半藤一利 文春新書

半藤一利 の他の本とネタ被りが多すぎるが、

座談会の出席者が自分の博覧強記振りを披露しようと、

ネタになってる人物のエピソードを捲し立てるが、

そのボケに対する戸部良一 のツッコミが素晴しい!

第一部 昭和の陸軍 日本型組織の失敗

座談会出席者

黒野耐戸部良一半藤一利福田和也保阪正康

1 派閥抗争が改革をつぶした 宇垣一成荒木貞夫

2 エリート教育システムの欠陥 東條英機永田鉄山

3 天才戦略家の光と影 石原莞爾武藤章

4 良識派は出世できない 栗林忠道 今村均 本間雅晴

5 暴走する参謀コンビの無責任 服部卓四郎と辻政信

6 凡庸なリーダーと下克上の論理 杉山元瀬島龍三

7 「空気」に支配された集団 阿南惟幾梅津美治郎

第二部 昭和の海軍 エリート集団の栄光と失墜

座談会出席者

戸高一成秦郁彦半藤一利 、平間洋一、福田和也

1 成功体験の驕りと呪縛 東郷平八郎加藤友三郎

2 人事を牛耳る皇族総長 伏見宮博恭王

3 良識派は孤立する 米内光政と井上成美

4 必敗の日米開戦をなぜ? 永野修身嶋田繁太郎

5 真珠湾とミッドウェーの錯誤 山本五十六

6 戦艦大和ゼロ戦 ソニー、松下への遺産

7 敵は米国よりも陸軍 貴族主義とムラの論理


個人の失敗や悪のエピソードを列挙するメンバーに、

「そうさせた組織の構造の欠点を論じるべき」

と、エピソードの羅列に水を差し、

悪で阿呆な軍人だけど家族思いの良い面もあったという発言には、

「軍人の評価に家庭内の事は関係ない」

と一刀両断!

戸部良一 先生の素晴しさが光る座談会本であった。

「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」 を読んで、

戸部良一 先生のファンになった人は必読本である。