『ながい眠り』 ヒラリー・ウォー 創元推理文庫

フェローズ署長シリーズ第1作。

ヒラリー・ウォーと言えば有名作はみんな警察小説だが、

このフェローズ署長シリーズだけが、

創元の分類では本格表示も併記されていて、

本格推理としても意外な真犯人が出て来ます。
普通の作家ならズッコンバッコンのセクースシーンを描く箇所でも、

情事の終った暗闇から描写始めたり、

無駄な描写の無い上品なヒラリー・ウォーはホントいい!

本作はややアンフェア感があるが、

本格推理としても絶対に真犯人は予測出来ません。

似たような題名の有名作にはグッバイして

大いなる感動を呼ぶヒラリー・ウォーを読め!


本書のベストセリフ

「シャーマンさん、見ず知らずの男についていくというのは、

ひじょうに愚かな行為です。

それは自覚していただきたい。

しかし、少なくとも鍵のかかった部屋に興味を示さないだけの賢さを

備えていてくださってよかった。

その部屋にあったのは、大事な書類などではない。

別の女性の死体だったんです。

あなたが疑いを抱いて穿鑿を始めていたら、

彼はためらうことなくあなたを殺していたと思いますよ」


軟派されホイホイと男についていく馬鹿女は

殺されても自業自得だと言うような、

この古き良き時代の倫理観がたまりませんわ。

ながい眠り (創元推理文庫)

ながい眠り (創元推理文庫)