『コンピューター検察局』 エドワード・D・ホック  風見潤訳 早川

The Transvection Machine
21世紀中葉、アメリカ・カナダ合衆国のVIP、

トランスヴェクションマシン(瞬送装置)の発明者にして防衛省長官ヴァンダー・デフォーは、

医療コンピューターの執刀による虫垂炎の手術中に死亡した。

コンピューターのミス?それとも殺人?

だが、コンピューターに殺人なぞ出来る訳がない!

殺人命令をプログラムしてRUNさせない限りは!

かくして、コンピューター犯罪を専門に扱うCIB(コンピューター検察局)は捜査に乗り出した。
動機を持つ者は無数にいた。

金星植民地での圧倒的優位が、瞬送装置による大量入植によって一挙に覆される事を恐れていた露中共和国政府。

デフォーが東側に寝返る事を不安に思っていたUSAC政府。

コンピューター文明を破壊し、20世紀の生活に還るべきだと主張している革命結社HAND(Humans Against Neuter Domination)。

政治的野望にばかり燃え、自分の体を鎮めてくれない夫に欲求不満になり、日本製の麻薬と電子制御の高性能バイブレーターでオナってばかりいて、脳に来たパープリン女房。

デフォーの地位と権力と富を独り占めしようとしていた共同研究者。

ノイローゼのぶりっこパッパラパー付添い看護婦。

看護婦をおとしいれ弱みを握り脅してセクースしようと思っていた外科医。

容疑者はいくらでもいるが、殺人の方法は謎だ!

コンピューターのセーフティロックを騙し、犯人は如何なる方法で医療コンピューターに殺人をさせたのか?



本書は別にミステリでなくても面白かったと思う。SFとしてのテーマを追求してほしかった。

SFミステリとしては水準作ですな。

アシモフの作品には到底及びません。

伏線の張り方がちょっと下手ですね。

犯人が判らん奴はもっとミステリを読んで勉強汁!

章題がキャラクター名になっていて主人公が誰なのかよーわからん。

HANDのユーラー・フロストが主人公だと私は断言してやる。

それにしてもCIBの捜査官はなんてドジなんだ!

安楽椅子探偵になった方がよいと思わせるほど喧嘩に弱いw

ラストは何だ!

戦闘中に容疑者の一人に助けられながら謎解きするな!情けない。

もちっと余裕を持ちなさい!

犯人に仕掛ける罠ももっとコロンボばりに高度にできんのか?

本書はホックが描いた21世紀文明と世界情勢が実現してしまったら単なる二流ミステリになってしまう、

SFであるから面白いというSF風ミステリである。

チョイ役でも日本人を出したのは褒めてあげる。

地球を取り巻いてるチューブ列車の軌道が、日本を通っているのも当たり前である。

原題のトランスヴェクションであるが、中世の魔女が空を飛ぶことをそう言ったそうである。

天使が飛ぶ時はレヴィテーションである。

瞬送装置がレヴィテーションマシンでなくて、トランスヴェクションマシンであるのは実はちょっと意味がある。ネタばれにはなってないよな?w