『剣のなかの竜』 マイクル・ムアコック 井辻朱美訳 ハヤカワ

ブラス城年代記」に共通する思想を具現化した素晴らしい作品。

現実逃避の手段としてSFを読んでる奴は読まない方がいい。
ヒロイックファンタジー世界を次から次へと転生するエレコーゼは、本書のラストで、

”俺はヒーローエレコーゼなんかじゃない!二十世紀のビジネスマン、ジョン・デイガーだぁ〜〜〜!”

と、夢と愛と冒険のファンタジー世界のヒーローであることを捨て、

現実世界に帰還するのである。

この霧けぶるロンドンに帰還するラストシーンは、オールタイムSFベストラストシーンを選ぶとしたら、

5位以内にいれるべきの超感動の美しいラストシーンである。

剣のなかの竜―永遠の戦士エレコーゼ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

剣のなかの竜―永遠の戦士エレコーゼ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)