『仮想空間計画』 J・P・ホーガン 創元

これはホーガンの弟ではなくてホーガン本人が書いたと思われる。

仮想空間を作る為の知覚を騙す技術の作り方が、現代科学に基づいていて勉強になります。

五感の内、もっとも再現するのが難しいのは臭覚だとか、雑学のネタとして参考になります。
ヴァーチャル世界にジャックインするのに、端末を頭にしか付けないサイバーパンクは、

如何にSFとして科学考証が足りないかよく判ります。

触覚は頭の脳まで行かなくても、脊髄に端子を付ければ、充分誤魔化す事が出来るのだ。

いくらリアルな仮想空間を作ったとしても、現実を再現するだけなら、リアルなゲームという、

単なる子供の玩具であるが、この小説では、仮想空間を作る目的が、

人工知能を教育する為だと言うのは説得力がある。

現実と変わらない、リアルなだけの仮想空間なら、現実世界で充分である。

ハードSFとして、最低限の面白さはあるが、ホーガンならではの、アッと驚く感動は薄いか?

仮想空間計画 (創元SF文庫)

仮想空間計画 (創元SF文庫)