『カリストの脅威』 アイザック・アシモフ 冬川 亘 訳 ハヤカワ

カリストの脅威」
「太陽をめぐるリング」
「一攫千金」
「時の流れ」
「おそろしすぎて使えない武器」
「焔の修道士」
「混血児」
「秘密の感覚」


一番面白かったのは「時の流れ」である。
この作品だけを、キャンベルが採用し、他はすべて没にしたことからも、

キャンベルの編集長としての能力を確認する為の作品集である。

もっとも、「時の流れ」もテーマ性が優れているというだけで、

普通に面白い短編集を読みたい人は無理して読まなくていい。

あまりにも、書かれた時代が古すぎて、真面目に読むと笑っちゃうだろう。

「時の流れ」は宗教が世界を洗脳した暗黒の時代でも、

科学の発達は歴史の必然であると、犯罪者にされながらも、

自分の好きな科学研究を続ける男の話である。

科学技術が進めば、すべての人は幸せになれるのである。

楽天的な科学万歳主義は古臭いと言われるが、

私は科学で夢を実現することこそ、SFの本質であると思う。

蛇足だが、「秘密の感覚」は同じネタを小悪魔アザゼルシリーズでやっている。