『サム・ホーソーンの事件簿Ⅳ』 エドワード・D・ホック 木村二郎訳 創元文庫

・黒いロードスターの謎

・二つの母斑の謎

・重体患者の謎

・要塞と化した農家の謎

・呪われたティピーの謎

・青い自転車の謎

・田舎教会の謎

・グレンジ・ホールの謎

・消えたセールスマンの謎

・革服の男の謎

・幻の談話室の謎

・毒入りプールの謎

・フロンティア・ストリート


コナリーの「ブラックアイス」探索中に買ってしまった本だが、

ホックは世界一の短編ミステリの名手(世界一のミステリの名手はクイーン、コナリーが抜くと思うけどね)

だが、このシリーズも四冊目で、

傑作は別の版元のアンソロジーに含まれているので、

ホックを全て読んで来た人はスルーしても構わない。
この四冊目のベスト3

革服の男の謎

呪われたティピーの謎

青い自転車の謎

は、全て他の短編集で読むことが出来ます。

青い自転車の謎は、解説では初訳になってるが、

私は読んだ記憶がある。

ホックは原文で読んだ記憶はないので、

どっかマイナーな出版社のアンソロジーに入っていたと思う。

ビブリオマニアの調査をキボンヌw

収録されている傑作は昔に別の本で読んでいるので、

この短編集自体の評価はどうしても厳しくなる。

欠点が目についてしまう。

シリーズを重ねるごとに、

キャラクターも年をとっていく構成だが、

4冊目でついに、我らの名探偵サム・ホーソーン医師も、

ボケ老人になり始めたw

論理のキレが悪くなった駄作が目立つ。

偶然の要素が目立つ駄作が多い。

論理的必然性より、勘に頼った捜査をするサム先生には幻滅。

今巻より登場する三代目看護婦(三代目探偵助手)に、

サム先生が、論理の甘さを指摘される箇所なんて読みたくねぇよw

あまつさえ、結婚して引退した初代看護婦も再登場し、

サム先生は、お前が犯人だと指摘し、

看護婦業(探偵業)を引退してる彼女にも、

論理の甘さを指摘されるww

サム先生独自の見事な推理で事件が解決する話が少なすぎる。

この巻では、田舎町ノースモントの名探偵サム・ホーソーンが、

全米で有名になっていると語られるが、

ニューヨークの新聞が殺人犯の町ノースモントと紹介したりして、

半分、本格推理のパロディになってきた感じw。

のどかな田舎町の筈なのに、

ノースモントは殺人事件が多過ぎるよなw

ホックの作品をこのシリーズでしか追いかけてない人には、

もちろん本書は必読である。

駄作が目に付くので、アベレージは低くなるが、

「革服の男の謎」は、

見事な推理小説の教科書のような話である。

推理作家を目指す人は必ず読め。

天才的ネタを思い付かなくても、

秀才的職人的な芸の積み重ねで、

見事な推理小説は書けるのだ。

小技の積み重ねでも感動は作れます。

天才作家というより、見事な推理職人のホックの、

職人芸に酔いしれろ!