『ドラゴンの騎士 ドラゴンウォーズ2』 ゴードン・R・ディクスン ハヤカワ 

本を読む動機を装丁の美しさに求める女は、
装丁が紫堂恭子だと知ると読むのかしらん?
って、1巻と同じギャグで誤魔化すには、紫堂恭子はマイナー過ぎますね。
私も辺境警備ぐらいしか、作品を知りません。
まあ、萩尾望都よりは紫堂恭子の方がディクスンのイメージには合うと思うが・・・。
内容だが、前作と違って、
ジムが自由にドラゴンに変身出来るようになっているので、白ける。
しかも、変身能力以外に様々な魔法を取得し、作者のご都合主義で、
成りたてのC級魔法使いのジムが、トリプルA級魔法使いを敵に回して、
勝ってしまうのである。
勝てない時は味方のトリプルA+(プラスではなくてプラと発音しよう!)
級魔法使いが唐突に援護に現れたりする。(笑)
前作ではっきりしなかった、魔法のルールらしきものも語られるが、
作者の科学知識が中学生並みなので、
魔法を科学的に定型化する試みには失敗している。
この世界の魔法というのは、宇宙の天秤から、エネルギーを引き出して、
物理現象にさせるのだが、エネルギー源がどこかにあるのは、まあ、認めるとしても
(認めないとSFではなくてファンタジィになってしまうって、ファンタジィだろ!とは突っ込まないでね、私はSFファンだから、この作品もSFとして読んだ)
その引き出し方の科学法則が説明不足である。
唯一化学式を使って説明している魔法が、水中でも溺れない魔法だけとは、
ディクスンの勉強不足である。
水中で溺れない為には、溺れないようにと念じても、
そんな抽象的な願い事では、宇宙の天秤(ムアコックとは違うよ)
は傾きません。
水の分子を電気分解して酸素と水素に分けると念じると、水中でも溺れない魔法が発現するのだ。
すべての魔法をこういう風に科学的な理屈(へ理屈か?)を付けて説明すれば、傑作になったのに、惜しいと思う。

ドラゴンの騎士〈下〉 (ハヤカワ文庫FT―ドラゴン・ウォーズ)

ドラゴンの騎士〈下〉 (ハヤカワ文庫FT―ドラゴン・ウォーズ)

ドラゴンの騎士〈上〉 (ハヤカワ文庫FT―ドラゴン・ウォーズ)

ドラゴンの騎士〈上〉 (ハヤカワ文庫FT―ドラゴン・ウォーズ)