『ミクロの決死圏2―目的地は脳』 アイザック・アシモフ 浅倉 久志 訳 ハヤカワ

本書は映画のノヴェライゼーションであった前作に不満を持つアシモフが、

映画会社の「2」の原案も、P・J・ファーマーが書いた「2」も無視し、

虚栄心の固まりでデッチあげた、

ハードSFパスティーシュパロディスラップスティックエピゴーネンである。
ハードSF風パロディは短編でバロウズの火星シリーズをハードSFにしたものを

ギャレットかセイバーヘーゲンあたりが書いていたと思うが、

さすがアシモフ、大長編でハードSFパロディを書くとは凄い。

プランク定数を捻じ曲げて、プッ、ミクロ化技術の成功は、ププ、

超光速飛行も、ギャハ、反重力もできるようになるんだってよ、ギャハハハ!

そしてラストで、はらわたがねじくれるメチャメチャな大どんでん返しがあります。

前作は目から脱出し、「インナースペース」はくしゃみとともに口から脱出した。

本書はもちろん目も鼻も口も脱出路にするわけにはいきません。

どこから帰還するか大いに考えて笑ってください。

続編ではなくリメイクである。

これを映画にしても、前作にも「インナースペース」にも劣ると思う。

パロディとして読むのなら、ミクロ潜航艇のアッと驚く欠陥とか、

笑いどころはいっぱいある。

どえりゃあ暇な時間があって笑う心の余裕がある時に、

何も読む物がなければ読めばぁ〜。

ミクロの決死圏 [VHS]

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