『蒼天航路』 王欣太 講談社 コミックモーニングコミックス

すべての人物が魅力的だという奇跡のような三国志である。

悪役としてメジャーな董卓がかっこいいのは、予測ついても、

韓馥さえかっこいいんだから、作者の力量には感服してしまう。(洒落ではない)

外見を美男子に描けないキャラでも、

生きざまや死にざまがどえりゃあかっこいいんだなも。

最初の頃は曹操かっこいい、みんなかっこいい!のパターンだが、

途中からギャグも爆裂するようになった。
このテンションで蜀滅亡まで描写出来たら凄いが、残念ながら曹操が主人公だから、

曹操の死で物語りは終わるでしょう。

利益が相反するキャラがいるのに、

すべてのキャラをかっこよく描写するのは不可能と思う人もいるかもしれんが、

漫画ならではのテクニックを使って上手く描写している。

劉備が「呂布を殺せ」と曹操に進言するシーンは、

劉備の徳の化けの皮が剥がれたみたいで、

劉備ファンでも劉備が嫌いになりそうだが、

この漫画では劉備がボロボロに泣きながら進言してるので、

劉備の表情で劉備を許す気になれる。

日本人の小説家ではこの漫画を越えることは不可能であろう。

自分が気にいったキャラだけを魅力的に書くのなら小学生にだって出来る。

プロと言いながらも、同人誌レベルの三国志小説が多いのは情けない。

鶏肋事件の時、楊脩が出てこなかったぞ、ゴルァ!

楊脩を正しく描写すると曹操が小物に見える可能性があるので、

楊脩が名前しか登場しなかったのは仕方ないが、

楊脩と曹操が絡むエピソードがあったなら完璧だったのだが。

極厚 蒼天航路(1) (KCデラックス モーニング)

極厚 蒼天航路(1) (KCデラックス モーニング)