『天地を喰らう』 本宮ひろ志 集英社
本宮ひろ志は基本的に暴力肯定の右翼漫画家だから嫌いなのだが、
これは実は好きです。宗教の神や仏より三国志の登場人間の方が、
精神の器が大きい、肝っ玉のでかい奴等が多いと常々私は思っていたが、
この作品では天界も関わって来て、
神や悪魔や鬼に劉備がボロボロに痛めつけられるシーンがあるのであるが、
弱い者いじめする神より自分の方が素晴らしい存在であると、
地獄に落とされても神の悪を告発して拷問を受け続ける劉備がとても素晴らしい!
そのあと地獄の罪人を守るため巨大化して鬼と戦うのはやりすぎだが、
このシーンのカタルシスは凄いです。
西洋思想では神に正義の概念が含まれているのが理解できなかった私ですが、
この作品で神を正義と認めるぐらいなら、
地獄に落とされた方がかっこいい!と思うようになりました。
神とは単に人間より上回る力を持っている存在というだけです。
力の使用が悪か善かは関係ないのだ。
三国志漫画としては趙雲が初登場して終わりなので物足りないが、
肝っ玉の小さい神を拝むより
この作品を読んで劉備のファンになった方が豊かな人生を送れると思います。
天地を喰らう―本宮ひろ志傑作選 (1) (集英社文庫―コミック版)
- 作者: 本宮ひろ志
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/07/01
- メディア: 文庫
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