『最終定理』 アーサー・C・クラーク フレデリック・ポール 早川書房海外SFノヴェルズ
本書のベストセリフ
「妊娠、出産は不条理なきまりであることはいうまでもない。
この法規には、赤ん坊がほしいと望む女性は、知的機能よりも、母たる機能を優先すべし、
と書いてある。これはやはり不公平だろう。しかし文句をいって、どうなる?
ゲームのルールを好きになる必要はない。やりようによっては、勝ちが望めるのだから」
ホモの大学生がVIPに成っていく過程を描いたファンタジー。
ファンタジーとして空想するのが難しいリーマン予想は対象外で期待外れ。
フェルマーの最終定理のワイルズの証明は、モジュラー論と背理法を使用しているので、
エレガントではないと、主人公は、
Xの5乗+Yの5乗=Zの5乗が真であるならば、
XYZのいずれかは5の倍数である。
という命題を発展させて、
ワイルズとは別の証明をするのだが、
どう考えてもこの命題を生かすには、背理法を使わざるを得ないよな?
後書きで主人公の証明方法は不可能だと作者も認めている数学ファンタジーだが、
軌道エレベータネタで、『楽園の泉』とは別のトンデモないアイデアを使っているので、
残念ながらハードSFではありません。
SFと解釈するのなら実は平行世界ものです。
実は物理が我々の宇宙とは別の宇宙らしい…。
はっきり言っちゃうとクラークもフレデリック・ポールもボケ老人になってこれを書いたのです。
老醜を晒し続ける破目になっただろうから、
これが遺作でクラークが死んだのは良かっただろう。
フレデリック・ポールはこれ以前に見捨ててるのでどうでもいいですが(笑)
- 作者: アーサー・C・クラーク,フレデリック・ポール,岩郷重力+T.K,小野田和子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/01/22
- メディア: 単行本
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