『アジアの教科書に書かれた日本の戦争』 越田稜 梨の木舎

日本の歴史教科書には書かれていないが、
アジアの教科書にはこんな風に日本軍の悪行が書かれています、と紹介した左翼向けの本。
だと誰でも予測すると思うが、リアルな描写は少なくて、
悪の枢軸国としての大日本帝国の知識を求める人には、やや期待外れだろう。
台湾の教科書は、「徳をもって怨みに報いる」の精神で書かれていて、
悪の侵略者日本の加害行為の記述なんて、ほとんどない。
編集者の越田も、これでは左翼に受けないと危惧したのか、
「教科書に書かれてなくても、台湾の人たちは今でも日本軍の悪行を怨んでいます」と、
新聞記事などを紹介して、台湾人の怒りを勝手に代弁しています。
台湾人は怨みに怨みを返す肝っ玉の小さい人間ではなくて、
悪の日本に対しても徳行を与えるでかい人物に成るべしと、
台湾政府が推奨しているのに、
勝手に新聞などから怨み節を採録して、日本と台湾の友好関係に罅を入れようと画策する越田は、
自分の本が売れればそれでよいと思っている肝っ玉の小さい人間ですな。
台湾の教科書には日本の悪はほとんど書かれていませんでした。台湾人は肝っ玉が大きいですねぇ。
で済ませるべきだったと思う。
一応各国にコメントするか。

中国

日本の表記は、日本帝国主義、日本侵略軍、日本侵略者、日本軍、日本。
南京大虐殺は1P弱。(期間6週間、南京市民の犠牲者30万人以上)
石井細菌部隊は半P。(3千人以上を「丸太」と呼称し人体実験して殺した)
日本が降伏したのは、中国人民の反撃に耐え切れなくなったから。
文が硬くて抽象的で読み辛くて、心に迫ってきません。
ヘタクソなイラストは笑える。
教科書に情動を揺さぶるリアルな人間描写を求めるのは間違いだが、もちろん、そういう教科書を作る国もあります。

モンゴル

日本の表記は、日本の帝国主義勢力、日本の侵略者、帝国主義日本、日本軍、日本の軍国主義者、日本。
南京大虐殺の記述はあるわけない。
石井細菌部隊は3行。(細菌戦を仕掛けるために病原菌を貯蔵していたという記述のみ)
日本が降伏したのは、ソ連が対日参戦したから。
モンゴルネタというとノモンハン事件だが、
ソ連に主役の座を奪われた認識があるのか、
脇役に徹してソ連を立てた地味な教科書である。
ソ連軍ファンには萌える教科書であろう。

韓国

日本の表記は、日帝、日本軍、日本。
意外にも侵略という単語は、資本主義の侵略という箇所にしかない。
てゆうか、日本は大韓帝国侵略戦争など行ってません。
日露戦争のついでに外交圧力で朝鮮半島もGETしてしまったのです。
米英も1905年に日本が朝鮮半島を支配することを認めました。
南京大虐殺の描写はあるわけない。
中国(清)に間島を外交で奪われた怨みを韓国人は忘れません。
韓国人にとっての南京大虐殺に相当するものは、
1919年3月1日の独立宣言文にともなう「万歳示威運動」で7509名が、虐殺されたことである。
日本の解釈は、独立運動ではなくて、宗主国への愚かな暴動の扱い。
韓国は宣伝へたですね。
5千人よりは1万人に近いのだから、
日本政府は、素手で平和デモ行進している韓国人を一万人殺したと宣伝すれば良いのに。
一万人をうっかり誤植すれば、数万人になるし、
更に誤読して転記して数十万人にするのも簡単でし。
数十万人というのは、40万人から20万人の間というニュアンスがあるな。
日本は朝鮮半島で30万人を大虐殺した「万歳示威運動大虐殺」事件として教科書に載せればいいのに、
大袈裟な中国人と違って、韓国人は真面目に控え目だから世界に舐められてきたのだ。
南京大虐殺はもちろんあったと私は思うが、
30万人は多すぎると思う。
「万歳示威運動大虐殺」事件以外に、
「間島惨変」事件というのもある。
こちらは、242+1124+572+347+17+804で
3106人だが、「万歳示威運動」の犠牲者と足すと、1万人突破するので、
悪辣非道な日本に支配されていた時代の韓国では、何の罪もない韓国人が万単位で殺されていた。
と書いてもOKだと思います。
石井細菌部隊の記述は、もちろんありません。
日本が降伏した理由は、書かれてません。
韓国人も日本軍の兵士として徴兵されて、
東アジアを侵略するのに協力したのだから、
韓国人の力によって日本は降伏に追い込まれたとは書けないが、
李奉昌による天皇暗殺未遂事件とか、
金ジソプによる皇居投弾とか、
テロリストとしてけっこう活躍しているのだから、
原爆落とされても、ソ連が参戦しても、
すぐに降伏しなかった日本が降伏したのは、
重慶大韓民国臨時政府軍が、遂に米軍と連合して、攻めてくると知って、
優しさを脱ぎ捨てて、本気になって戦争しようと決意した
偉大なる韓国人には勝てるわけがないと、
戦意喪失したからだと書いてもOKだと思う。
漢字萌え心をくすぐる箇所をメモっておくか。
土地の略奪
産業の侵奪
食料の収奪
光復=奪われた主権の回復
侵略→侵攻
弾圧→鎮圧
出兵→派遣
収奪→譲渡
抵抗運動→暴動
専制→統治

北朝鮮

北朝鮮の洗脳技術は世界一ィィィ!
というわけで、読み物としては群を抜いて面白いです。
教科書というよりは小説に近いですな。
3・1反日蜂起とそれに対する日帝の虐殺の描写は、リアルな情景が脳裏に浮かび思いっきり感情移入出来ます。
教会の中に押し込められて、放火され、
焼き殺されていく朝鮮人民の描写は、とても巧いです。
燃える教会から逃げようとする朝鮮人には、銃撃するのだ。
それでも、子どもだけは見逃してくれるかと、
ある母親は、窓から子どもを逃がすのだが、
血に飢えた、人殺しが大好きな日本軍兵士は、
子どもを銃剣で突き刺して、炎の中へ投げ込むのだ。
単純に銃撃せずに、銃剣で刺すという行為の方が、
日本軍の悪がより強調されて巧いよな。
何人虐殺されたか具体的な数字は一切なく、
片腕を切り落とされても行進し続けた人民もいたとか、
具体的に感覚に訴える例を提示しているのは本当に巧い。
数字萌えの人は少ないから、無味乾燥な数字なんか提示しても、人民の心を熱く揺さぶることは出来ません。
金日成(キムイルソン)元帥は3・1蜂起&虐殺事件の時に、8歳の少年であったが、
12キロメートル行進したとしっかり書かれています。
韓国の教科書では3・1蜂起はソウル・パゴダ公園から始まったように書かれているが、
北朝鮮の教科書ではもちろんピョンヤンから3・1蜂起は始まったと書かれています。
金日成(キムイルソン)は万景台(マンギョンデ)地方からピョンヤンに行進する隊列に加わったのだ。
万景台(マンギョンデ)の人々は、ピョンヤンの城門のところで、
凶悪で悪辣な血に飢えた蛮行を好む野蛮な略奪者にして侵略者の日本軍に銃撃され、
万景峰(マンギョンボン)に退避したのだ。
朝鮮人にとっては、万景峰(マンギョンボン)という名には深い意味があるのだ。
「万景峰(マンギョンボン)号帰れ!」
と抗議活動しても北朝鮮には逆効果である。
例えは悪いが、アメリカの港に入港しようとする
広島丸に、アメリカ市民が、
「広島帰れ!」
「広島ふざけるな!」
「犯罪者の集団の広島!」
「広島のでかい面は許せん!」
「広島は消えてなくなれ!」
と抗議しているようなものである。
韓国の教科書にはもちろん登場しないが、
金日成(キムイルソン)は15歳の時から、抗日パルチザン組織で朝鮮人の為に戦った英雄なのである。
朝鮮人の英雄、金日成(キムイルソン)の息子が、
現在の北朝鮮を独裁していても、なんの不思議はない。
自分では何もせずに、日本軍の暴走をはっきりと止めなかった昭和天皇(明らかに戦争犯罪者である)
の息子を税金で贅沢な暮らしをさせている日本の方が、
世界からは変な国だと思われています。
ヨーロッパでは昭和天皇ヒトラームッソリーニも同じような悪だと認識されています。

台湾

日本の表記は、日本軍、日本。
南京大虐殺はたった3行。(期間明記せず、南京市民の犠牲者30万人にのぼった)
ただし、野田毅らが中国人少年を日本刀で斬り付けようとしているナイスな写真がある。
日本人兵士の、人殺しを楽しんでいる粗野な笑顔と、
絶望しきった中国人少年の悲しげな顔の対比が、効果抜群ではある。
石井細菌部隊は記載なし。
日本が降伏したのは、米が原爆を落としたから。
米軍萌えには、フライングタイガースも登場するので、よろしいかと思います。
なんといっても、日本降伏時の蒋介石の演説が素晴らしい。
「旧悪は思わず」
「人に善をなす」
「敵は日本軍閥のみであった」
「日本人民は敵ではない」
「報復は図らない」
なんて太っ腹!
台湾が世界を征服するべきだと思いました。
おじさん感動して泣いちゃった。
「泣いております、郭は既に泣いております!」
中国5千年の偉大な文明の後継者は台湾である。
台湾こそが世界一ィィィ!

香港

日本の表記は、日本の軍国主義者、日本軍、日本。
南京大虐殺はたった1行。(期間明記せず、南京市民の犠牲者30万人)
石井細菌部隊は記載なし。
日本が降伏したのは、米が原爆を落とし、ソ連が参戦したから。
イギリス租借地時代の香港だが、国家扱いして章立てするのは、格が違うと思う。

では、声高々に叫べ!
中国共産党は政権を台湾政府に禅譲せよ!」