『カルロス四世の家族〜小説家の美術ノート〜』 井上靖 中公文庫

ゴヤの「カルロス四世の家族」について

井上靖氏はフランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスでは、「カルロス四世の家族」が一番好きだそうです。

井上氏が「カルロス四世の家族」に惹かれるのは、

描かれているスペイン王室の13人(14人いるが、1人はゴヤの自画像である藁)

が小説家としての想像力を刺激するからだそうです。

でも、そういう好みなら、ディエーゴ・ベラスケスの「ラス・メニーナス<侍女たち>」でもいいような…。

ラス・メニーナス<侍女たち>」で妄想しろと言っても、井上氏は延々とドラマをでっちあげられる気がする。

一枚の絵からドラマを妄想して楽しめる小説家恐るべし!(藁

「カルロス四世の家族」の不自然な空間に気付き、ここには、本当なら、もう一人が描かれる筈であったろう。

と推理する井上氏の鑑賞方法は、参考になった。

あえて描かなかった、あるいは描けなかった事象に思いを馳せるのも、

絵画を鑑賞する際には必要であろう。

桂離宮庭園の作者

偉大な小説家の俺様が、一般公開してない桂離宮を観に行ったぜ、がはは。

というレポート。

日本庭園の粋な精神の勉強にはなります。

●微笑と手と(レオナルド・ダ・ヴィンチ小論)

モナリザは世界一の名画と言われるが、

私は、どこが美しいのやら、魅力的な謎の微笑みなのか理解出来なかったが、

さすが一流の小説家の井上靖先生だ!

モナリザは不気味であると明言してしまうのである!

先生惚れマスタ。

誰も彼もが名画と言うからって、付和雷同して良いと言う奴らは情けないよな。

自分の目で見て、自分の頭で考えるのが大事である。

顔真卿の「顔氏家廟碑」

書のネタだが、顔氏ネタの短編小説みたいになっている。

批評ではないです。

小説として読めばそれなりに面白い。

●「信貴山縁起絵巻」第一巻を観る

これも第一巻を小説風に紹介した文がメイン。

観てどう思ったかの考察が少ない。