『ブルースカイ』 桜庭一樹 早川文庫JA

ブルースカイ (ハヤカワ文庫JA)

ブルースカイ (ハヤカワ文庫JA)

過去編と未来編と現代編で構成された長編SF。

桜庭の父は理系の学者だったので、

本人は文系だが、科学解説書を夜伽話として育った桜庭には、

しっかりと本格SFの香りが漂ってます。

未来編がジェンダーSFとして凄い傑作である。

少女が存在しない素晴しい世界!

女性は存在するが、

幼女からあっと言う間に大女に成長してしまうのだ!

男性の方が小柄で性欲を持たず、

大女が男漁りする社会である。

少女というのは近代消費社会に作られた性でしかない。

経済消費の為の性、少女。

ヒット作品は若い女に受けないといけないのだよw

経済社会の為に作られ、壊れ、

買う立場から自らの肉体を売るようになる少女。

17世紀のドイツにタイムスリップした21世紀の女子高生が、

人間扱いされないのも素晴しい。

ドイツ人の10才の少女は、

17才の日本人の女子高生をケダモノだと認識する。

服を着ていたので人間かと思ったが、

服の役目を果たしてないミニスカートを自分の意思ではく人間なんているわけがない。

服を着せられた動物が女子高生。

言語を話しているようにも聞こえるが、

「いたぁい!」「きゃわいい!」「ありがと」「KY」等、

短い音節しか発しないので、動物の鳴き声と認識される。

近代経済社会では、売れる為には、

女子供を敵に回してはいけないという鉄則があるが、

女子供の両要素を持つ少女を、

科学的な正しい視点で馬鹿にした素晴しいSFである。