『アニメ・マンガ・戦争 安彦良和対談集』 角川書店

アニメ・マンガ・戦争

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本書のベストセリフ

安彦良和「拙くても、思いのたけが少しでも伝わればいい」

19人との対談が17編収録されてます。

2編は鼎談ということです。

オマケとして安彦良和氏の中国紀行文もあります。

素晴しい表現者安彦良和氏。

村上隆は「あと20年以内に安彦良和美術館が出来る」

と予測しているが、

サブカルをアートとして売りつける美のブローカー村上隆が美術家ならば、

もちろん現時点でも安彦良和氏は素晴しい芸術家である。

思いを伝えるのが芸術、

伝える思想、メッセージのない、ただ美しいだけの作品を、

安彦良和氏はコケ下ろしてますw

歴史漫画家として、安彦良和氏の歴史の知識は相当のもので、

松本健一氏に堂々と反論するのは痺れました。

安彦良和氏は作品の出来を評価するのに、

脇役の魅力に注目するそうであるが、

脇役の造形力で作家の力が判断出来るという説はとても共感した。

ガンダムが傑作なのは大河ドラマとして、

味方にも敵にも魅力的な人物がワサワサといたからである。

そして安彦良和氏はニュータイプに否定的なのも素晴しい。

アムロが勝ち続ける理由付けとして、

富野監督がニュータイプを登場させてしまったが、

ふざけた超能力を絵で見せる工夫をするのを、

安彦良和氏は馬鹿馬鹿しいと思っていたと思われる。

SFというより、実は宗教寄りの富野の世界観を、

安彦良和氏は嫌悪しておられるみたいである。

宗教的な宮崎作品やエヴァンゲリオンや、

そしてもちろんイデオンにも安彦良和氏は否定的である。

アニメ関係の表現者でもっとも知的レベルの高いのは安彦良和氏で決まりである。

最後に「虹色のトロツキー」関係の名セリフを書いておこう。

甘粕正彦「どんな本でも読め!そして克服せよ!!」

「くだらない本は燃やしてしまえ!」と言ったという説もあるが、

左翼でありながら、右翼の殺人犯甘粕正彦マンセーするような言質を紹介する、

安彦良和氏は、右も左も超克した一流の思想家であり表現者である。

大塚英志程度が安彦良和氏を批判するとは片腹痛いわ!