『一千億の針』 ハル・クレメント 創元

一千億の針 (創元SF文庫)

一千億の針 (創元SF文庫)

それなりにまとまっているが、続編は正編を超えることができなかったという、

よくあるパターンになってしまった。

読み始めたとき、あれっ?クレメントってこんなに文章うまかったっけ?

と引き込まれ一気に読み終えることが出来たが、

SFとしてもミステリとしても水準作以下だなぁ。

前作「二十億の針」において、

アメーバ状の寄生宇宙人の刑事と犯人が地球に不時着し、人間に寄生した。

その時の地球人口は二十億。刑事が犯人を探し出す確率は二十億分の一だった。

それから七年後の1954年、

刑事と共生関係を保っていた人間に異常が目立つようになった。

自分の宿主を救う為、刑事は母星に救援を求める必要に迫られる。

だが、銀河に遍く恒星は一千億!

今度の確率は一千億分の一だ!

単純に考えても50倍は面白くならなアカンのに、そうはいかんかった。

伏線の張り方がへたすぎる。

ロジャー・ヤングのセリフに模した、

英雄ぶって死にたがる奴を非難してたのはよかった。

前作読んでる人は、まあ、読んでおいた方がいいでしょう。

ラストの謎解きで感動できんでも、そこに至るまでの過程は夢中になれる筈だし、

前作の世界がより深まるしね。

ところでロジャー・ヤングって実在した人だったんですねぇ。

「宇宙の戦士」のロジャー・ヤング号としてしか思い出せんかった。

同じ退役大佐であるハインラインとクレメントのロジャー・ヤングに対するアプローチの仕方を比べるのも一興ですかな。

クレメント元大佐の素直な反戦の声を聞きなさい!