『雷の季節の終わりに』 恒川光太郎
- 作者: 恒川光太郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2009/08/22
- メディア: 文庫
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「性には興味がない。
生殖能力と性欲をセットで失ったのだ。
失ってしまえば、ただそれは、
公平な判断を狂わす不必要な劣情としか思えなくなった」
出来の良いクーンツの雰囲気もある。
不死の敵を如何に封印するか?ネタはタニス・リーにも匹敵する。
これも加えたら誉めすぎだが、
「デビルマン」に通じるイメージもあります。
時制のトリックが見事に炸裂するミステリホラーの傑作、
人称のトリックはやや不完全だが、
「夜市」同様捻ったプロットの意外性に溢れる傑作。
文学の香りも漂う美しい文だが、
難しい漢字や難解な比喩表現は一切使ってないのも素晴しい。
美しいホラーなんだが、エンタメとして
謎の要素が多いミステリとしても傑作。
美しい文が書けるのなら純文学に擦り寄る事も考えるだろうが、
ブンガクとしてのふざけたテクニックは一切使ってない
物語の王道を行く素晴しい小説。
日本一のホラー作家は恒川光太郎でケテーイである。