『私説三国志天の華地の風』 江森備 光風社出版

オヤジ系三国志の研究本では絶対紹介されないホモホモ三国志である。

が、濡れ場はそんなにない。

歴史の知識は北方謙三より遥かに上で、

歴史小説としてはまともである。袁琳の扱いを比べれば、

こちらがまともな歴史小説であると理解できるであろう。

美少年の頃に董卓にオカマ掘られてホモに目覚めてしまった孔明の、

ホモ道と人民の為に生きる道の葛藤の物語である。

周瑜公瑾との愛を捨てて、周瑜暗殺を決意するシーンは泣ける。

楊脩徳祖死後の時代に楊修という脇役が一行だけ出てくるのは許せんが、

楊脩徳祖にこだわるのは私だけだろうから、他の読者にとっては許容範囲だろう。

孔明天才インフレ理論が暴発し、空中機動攻撃をするシーンはやりすぎかもしれんが、

超能力や男女のズッコンバッコンばかりの三国志よりは目先が新しくていいだろう。

ただし、劉備玄徳ファンは読まない方がいいだろう。