『暗号解読』 サイモン・シン  新潮文庫

もし彼が存在しなかったら、第二次世界大戦はあと3年は続き、更に何千万人もの犠牲者が出たであろうと推測される、世界史最大のヒーローが、1952年警察に逮捕された。罪名は「同性愛」。

世界征服を企む悪のナチスドイツの究極の暗号エニグマを解読し、連合国の勝利に貢献した彼であったが、イギリス最大の国家機密だったので、エニグマが解読されていた事が公式に認められたのは1974年。僕らのヒーロー、アラン・チューリング博士は薄汚いホモとして有罪になり、精神病院に送られ、失意の果てに1954年に自殺する。上巻の最後がチューリング博士ネタなのがイイネ。

チューリング博士ネタに感動すれば、下巻はオマケであるが、
一応下巻も読んだ。

私は決定論者なので、量子力学黒歴史として封印して欲しいのだが、光子の偏極を利用した量子暗号凄い!と唸ってしまいました。

単一の光子を送って暗号文を作るが、縦スリットは縦向きの光子、横スリットは横向きの光子が通るが、半分の確率で、斜め向きの光子も縦横のスリットを通る。発信者と受信者のスリット以外の第三者の盗聴スリットが存在すると、正規の二人のスリットの組み合わせから考えられる確率から、大きく偏差して、盗聴者の存在が判ってしまい、暗号送信を中止出来て、絶対解けない暗号の完成である。

解く以前にそもそも暗号文を入手不可能の究極の暗号だ!

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)