『先生の隠しごと―僕僕先生』 仁木英之  新潮社

僕僕一行は肌の色も目の色も違う異民族達が仲良く暮らしている理想郷に辿り着く。
建国者の王様が光の国と自称するそこは、法律もなく、
どんな職業に就いても良いし、就かなくても、食料も酒も配給される夢のような理想郷。
ニートの王弁クンの理想の地と思われたが、
住民の笑顔はみんな同じ表情だった。

宮城谷昌光クラスの歴史ミステリネタ爆裂!あの実在人物が僕僕一行に絡むとは凄い!!
まあ、王弁クンも実在人物でしたけどね…。

薬師として50人を見捨て100人を助ける決断を迫られる王弁クンの、死者の想いを背負う覚悟が胸をうつ。
だが、パラダイムシフトの天才の仁木英之先生なので、クライマックスの見せ場では王弁クンは、何もしない(笑)。
ニートの本領発揮で何もせずに佇むだけで、なんか感動してしまうのが、さすが、天才の仁木英之先生作品である。

今回僕僕先生が昔の夫のそっくりさんに出会って、
そいつと結婚してしまうが、
性交渉は無しで別れる事になるのは、さすが上品なファンタジーでナイスである。

恋に狂って正しい状況判断が出来なくなった僕僕先生と、
僕僕の弟子達の対立の構図も発生するが、
対立が深刻化し、僕僕一行が解散するとなったら、
吉良は僕僕を見捨て王弁と一緒に行くと明言したのが嬉しかった。
吉良、可愛いよ、吉良、(*´Д`)ハァハァ。

先生の隠しごと―僕僕先生

先生の隠しごと―僕僕先生