『外務省革新派』 戸部良一  中公新書

本書のベストセリフ

「現在外務全機能を大観するに、徒に老朽無能、尸位素餐の禄盗人を以つて充満し、大使と云ひ公使と云ふも、只只栄職に齧りつくのみで女郎外交に其の日を過し、老後の為の文化住宅建築費や、鼻たれ小僧、あばずれ娘のぜいたく三昧費の稼ぎ高を数へてヤニ下るサラリーマンの古手ばかりではないか。こんな手合に外交刷新を望むことはまことに百年河清を待つに似たり」

難しい漢字一杯出て来るので漢字萌えには良い本だが、
軍人萌えはよく聞くが、外務省官僚萌えがジャンルとして成立してるか疑問ですが、
誰も書かない新たなマーケットを開拓しようとする戸部良一先生はさすがですな。

『失敗の本質』の売れた実績がなければ、これは出なかった本だな。

世界征服を企んだ悪の大日本帝国の戦争指導者を有罪にする東京裁判A級戦犯にされたのは大臣クラスばかりと思っていたが、唯一人、外務大臣でも外務省事務次官でもなく、イタリア大使の白鳥敏夫が居た。

彼は外務省革新派(枢軸派)のキーマンであり、GHQから日本のゲッペルズと指弾された人物である。
精神病質(ムー大陸の存在を信じている)の彼を中心に、外務省枢軸派の興亡を丹念に描写した労作。

白鳥敏夫って普通の歴史ものでは雑魚だよね。名前さえ出て来ないパターンもあるよな(笑)。
平和主義の昭和天皇は白鳥を嫌っていたが白取と認識してたのも笑う。
白鳥敏夫の全人類の祖先は日本人説(ムー大陸から世界中に植民したらしい)は、トンデモ理論として笑えるが、
戦前戦中白鳥敏夫マスゴミの寵児だったそうですよ。
一般人に受ける判り易い面白い理論を流布する浅ましいマスゴミに新たな怒りが湧いて来ました。
愚かな戦争に国民を巻き込んだのは軍部の暴走だと言う説があるが、
マスゴミが戦争協力思想を吹聴しなければ、
軍部も外務省枢軸派も国民を誘導出来なかったと思う。
一番の悪はマスゴミだと思いますぅ。

外務省革新派 (中公新書)

外務省革新派 (中公新書)