『詩的私的ジャック』 森博嗣 講談社文庫

本書のベストセリフ
「先生は、女性が社会に出て仕事をすることを、どう思われますか?」
「どうも思わないね」
「そもそも、男女平等と職業とは無関係だ。つまり、男と対等になるために、仕事をするなんてナンセンスだと思う。それでは、仕事をしている者が偉いという、馬鹿な男が考えた言い訳を認めることになる。いいかい。仕事をしていても、遊んでいても、人間は平等だ。問題をすり替えてはいけない」

一人目の被害者にI、二人目にZ(N?)の謎のメッセージがナイフで切り刻まれている。IZで始まる単語はロシア語ぐらいしかないが、これはZは乙と読むべき、そう1乙。
1(゚д゚ )乙 これは乙じゃなくてポニーテールなんたらかんたら、犯人は2ちゃんねらーだ()

冗談はともかく『すべてがFになる』に次ぐ大傑作。

捜査を撹乱する為、真犯人が女装して犯人を女と思わせるのは、エラリー・クイーンもやっていて、それはもちろんメイントリックではないが、女装は趣味として事件に関係してくるのが、さすがの現代ミステリである。

ホモも出て来るし、ジェンダーものとしても素晴しい小説。

細かい物理トリックも現代の科学知識を駆使していてとても楽しい。
マイクロマシンを作れる現代科学ならタバコの箱ぐらいの大きさで、密室を作る施錠メカを作るのは簡単。

無関係な人物の指紋がある物体を現場にバラまいた方が有効だが、密室を作る動機も巧く説明しています。

私の嫌いな萌絵は、今回も犯人に首絞められて、意識を無くすので、
死んだかと喜んだが、死ななくて残念。

犀川先生が警察に真犯人を尾行せよと指示するのが、後1日遅かったら、
目出度く萌絵は死んでいた筈だが、うーん、残念()

ん、そもそも出しゃばり萌絵が居ないと、犀川先生が事件に巻き込まれる事もなくなるか?

萌絵の存在は必要悪として諦めますが、今巻、萌絵が犀川先生にプロポーズするシーンがあって怒り狂った。
恩師の娘だからイヤイヤ付き合ってるのに気付けよ、馬鹿萌絵。

知的な犀川先生は女より学問の方が好きなのにね。

殺人事件を解くより犀川先生は学問の方が好き。
推理小説より面白い学問はイパーイあるのに、
小説が一番面白いと思い込んで、学術本は全然読まない人は人生損してるよな。

詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)