『物体X』 山田正紀 ハヤカワ文庫JA

「物体X」
「暗い大陸」
「見えない人間」

SFの真髄は中編にあり!という持論を持つ正紀のSF中編集。
イデアが無限に湧き出る天才正紀なので、
中編に惜しみもなくアイデアを捨てる事が可能だが、
普通の作家なら長編化するよな。
「物体X」は『遊星よりの物体X』のオマージュで、
ホラーティストのせいもあるが、結末が中途半端な感じ。
女性フリーライターが化け物と戦う構図は、
ジェンダーテーマ的にはナイスだと思う。
「暗い大陸」はフロイド的精神世界内での、
ギャグ調冒険メタアクションで、
長編ではくどく成りすぎるが、
短編でも良かった感じ。
中編としてそれなりにまとまってるのは、
「見えない人間」だけか?
無駄に引き伸ばした長編は嫌いなので、
正紀の理想は理解出来るが、
実例としての実作としては、
普通よりちょっと良いぐらいに思いました。 

物体X (ハヤカワ文庫JA)

物体X (ハヤカワ文庫JA)