『川は静かに流れ』 ジョン・ハート 早川ミステリ文庫

文学寄りだが、一応意外な真犯人ということで及第点は付けられる。

もうちょっとテンポが速いと更に良かった。

年間ベスト1クラスではないだろうw

原発問題を含む社会派なのは良いが、

ジェンダー観がやや古いのはマイナス。

苦悩する金持ち青年の物語としては、

カート・ヴォネガット・ジュニア の「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」

「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」 の方が遥かに傑作。

嘘つき一人称の物語としては、

ディーン・クーンツ の『オッド・トーマスの霊感』 の方が遥かに傑作。

つまんない箇所や反感を覚える箇所は

文学なのでワザとやってるのは理解出来るが、

ジョン・ハートには普通にエンタメに徹して欲しい。

単純な苦悩する純文学と、暴れまわるノワールを、

相対化して超克しようとしたのだと思うが、

微妙に失敗してる感じ。
これは大傑作ではないが、他の作品も読みたいと思わせるだけの、

微妙な個性はありますw


本書のベストセリフ

「えらそうに言わないで!

自分ひとりが世の中で傷ついてるつもりになって、

怒りをぶちまける権利があなたにあるの?

なぜあなただけが特別なのよ、アダム。

あなたはずっとそうやって生きてきた。

自分はルールの対象外だという態度で。

怒りさえすれば特別扱いされると思ってるのか、

いつでも怒りを抱えてる。

でもね、言わせてもらうけど、

つらいのはみんな同じなのよ」

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)