『人形式モナリザ』 森博嗣 講談社文庫

シリーズものの安定感が不安感に摩り替わり、

とてつもない期待感に昇華する世界一のミステリシリーズ。

シリーズものでなければならない必然性が素晴しい!

この1作に限って言うなら、物理トリックと心理トリックの融合性にやや不満。

これでも充分傑作だが、

もっと面白くもっと感動を呼ぶ書き方も森先生には出来ると思う。

小説の完成度とはあんまり関係ないが、

本書の舞台芸術論は素晴しいです。

薀蓄語るなら数学ネタをもっと明確に説明した方がいいかもとも思うが。

式は方程式しかないと思ってる文系には、

この作品の素晴しさが完全には理解出来ないか?

タイトルの正しい意味は、人形行列式モナリザである。
素晴しい理系数学ミステリである。

謎(未知数)を解決するのに、

方程式を代入法で解くのは文系でも知ってるが、

方程式を使わずに、

マトリクス、行列式で解いた数学ミステリである。

対数積分や約数関数を使わずに、

調和数をΣ計算して解くネタは何巻にあるのだろう、ワクワク。

人形式モナリザ Shape of Things Human (講談社文庫)

人形式モナリザ Shape of Things Human (講談社文庫)