『柳生雨月抄』 荒山徹
モスラや大蛸のような巨大怪獣や、
怪人蠍男もオスカル様も、なんでも有りの妖術大戦の話だが、
敵が朝鮮妖術師なので、朝鮮の歴史の説明が退屈だが、
日本史のトピックの陰には、朝鮮の陰謀があったという、
この作者の朝鮮陰謀史観がデラ面白い。
日本史の実在人物のあいつもこいつも、
実は朝鮮の工作員という話。
朝鮮の妖術師や妖怪に対抗するのは、柳生友景。
柳生石舟斎宗厳の妹の息子である。
柳生十兵衛から見ると父の従兄弟に当たる。
で、この友景が新陰流の使い手としても一流だが、
主人公が強すぎて、どうやって危機を乗り越えるかのカタルシスは少ない。
読みどころは、ぶっとんだ史観と、なんでも有りの朝鮮妖術ですな。
どんな妖怪や怪人や怪獣が出てこようとも、
霊的に強い怨霊を味方にし、必殺のアイテムを貰うとかして、
友景は勝ち続ける。
知恵ではなくて、どの怨霊を呼び出すかの知識の戦いですな。
戦略面は山田風太郎 より凄いが、
戦術のデティール、個々の戦闘シーンは芸がない。
山田風太郎 が生物学ハードSF伝奇とするなら、
こちらはホラーファンタジィ伝奇というところか。
マイケル・ムアコック のヒロイックファンタジーに近い気がする。
色白の美青年の友景はエルリックみたいw
『黄金の魔獣』でも読むとしよう。(ゴルドン出ない?w)
- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04/25
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