『ノモンハンの夏』 半藤一利 文春文庫
本書のベストセリフ
アドルフ・ヒトラー「日本の天皇は、ロシア最後の皇帝そっくりだ。
弱体で、臆病で、なんの決断も下せない。
天皇など革命の餌食になってしまえばいい。
日本と協調していって人気のあった例はない」
満蒙国境紛争が日ソ戦に発展したノモンハン事変ネタだが、
ヒトラーやスターリンのエピソードも多く紹介されている博覧強記の書。
ノンフィクションだが、小説並みに人物の内面の心理描写もされてます。
なんで、そんなことまで判るの?
と疑問に感じる箇所もあるが、まあ、若気の至りとして許してあげましょう。
ヒトラーとスターリンの801小説としても読めます(読むなよw)
で、世界一の悪で阿呆な大日本帝国軍ネタは、
最悪の軍人は辻政信であったと理解出来ます。
他の作品はけっこう筆を押さえて冷静に書いているが、
これは、絶対悪辻政信に対しての怒りが迸ってます。
ノモンハン事変でジューコフは日本軍に32%もの死傷率を与えた。
日本軍の主力の第23師団に対しては76%もの見事な包囲殲滅戦を完遂した。
太平洋戦争でもっとも悲惨とされるガダルカナルの戦いでも34%である。
包囲殲滅戦の教科書とされるジューコフの見事な戦いに酔いしれろ!
やりきれないのは、名将ジューコフの包囲から脱出したわずかな日本兵は、
敵前逃亡の罪でほとんどが死刑にされているのだよね。
法廷も開かれずに病院で暗殺された下士官もいた。
日本人の敵は大日本帝国軍の高級将校であったことがよく判る良書である。
- 作者: 半藤一利
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/06/08
- メディア: 文庫
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