『林達夫セレクション(2)文芸復興』 鶴見俊輔監修 平凡社ライブラリー

本書のベストセリフ

「文献学者の魂の中には、

これらの現実主義者の

全然窺い知るを得ない珠玉が光っていて、

彼等は実にその光に導かれているのである。

その珠玉とは即ち真理のために真理を求める、

利害を超越した純粋なる知識の愛にほかならない。

そうしてこれこそ人間の本能のうち最も気高い、

最も美しいものであると共に、

また我々が人の世の有様を見てともすれば

人間の鳥獣にも劣る生物ではなきかを疑うとき、

我々に人間の尊厳と優越とを思い起こさせてくれる

僅かなもののうちの一つである。

射利的本能に導かれて

人心と世相との機微に徹しようと学ぶ利口な相場師を、

一つの言葉の根源を索めて行方も知らず踏み迷う

語源学者の足許に坐せしめるものは、

実にこの知識の愛にほかならない。

利害に超然として真理を追及する激しい情熱を有する彼等に比べれば、

現世の利欲の奴隷となって利口に立ち廻っているさかしき輩は、

鳥獣にも等しき憐れむべき存在と言うべきであろう」

マチュアの領域

発見と発明の時代

文芸復興

三つの指輪の話

みやびなる宴

タイスの饗宴

書籍の周囲

読書人のための書物の歴史

本のもう一つの世界

編集を終えて

編集長という椅子

思想の思い出

一冊の本

純真な夢想の糸

ロルカの発見

血の婚礼上演に寄せて

遊戯神通の芸術

歌舞伎劇に関するある考察

一高時代の友だち

解説菅野昭正


本好きの為の名セリフは引用したので、

文学ファンはこれは読まなくていい。

本書は美術・音楽・演劇評論がメインである。

小林秀雄西田幾多郎もまとめてアボーン出来る

高い知力の超一流の文芸評論家の林達夫であるが、

美術評論家としては二流、

音楽や演劇に関しては三流である。

切れ味鋭い名刀も、

屑や糞を斬ってはなにも光らないと言えるかもしれんがw

林達夫の芸術関係のアンテナは狭い。

スペインネタがガルシア・ロルカしかないのは脱力。

所詮未熟な魂の中世美術であるイタリアルネサンスを論考しても、

糞を斬ってもトウモロコシの欠けらぐらいしか見つかりませんぞw

芸術ネタのほとんどがイタリアとフランスなのは

知的な大人として恥ずかしいよなww