『サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ』 エドワード・D・ホック  木村二郎訳  創元

・有蓋橋の謎
・水車小屋の謎
・ロブスター小屋の謎
・呪われた野外音楽堂の謎
・乗務員車の謎
・赤い校舎の謎
・えびえ立つ尖塔の謎
・十六号独房の謎
・古い田舎宿の謎
・投票ブースの謎
・農産物祭りの謎
・古い樫の木の謎
・長い墜落

1920年代禁酒法時代のアメリカを舞台にした時代ミステリである。
長い墜落はオマケの現代ミステリですが、全編不可能犯罪ものという、
エラリー・クイーンの一人でもあったホックの面目躍如の短編集である。
白ける自殺ネタもあるが、短編集としては買っても損はないだろう。
不可能犯罪ものって、不可能に思われるから犯人は頭が良いというのがセオリーだが、
不可能に見えても、事件として警察に存在を知られては、
トリックを暴かれる危険性があるので、
派手な不可能犯罪をする犯人の心理に疑問が生じるが、
何故、わざわざ大勢の目撃者の前で殺人をする必要があったのか?
という動機にも踏み込んだ「呪われた野外音楽堂の謎」が本書のベストですな。
不可能犯罪を趣味と実益にする怪盗紳士なんていうアプローチは盗作漫画だけで充分です(藁
野外音楽堂で刺殺事件が発生する!
現場にいた人々は犯人を取り押さえようとするが、
犯人は空中に消えてしまう!
過去に幽霊の目撃談があった野外音楽堂なので、
人々は犯人の正体は幽霊なのかと恐怖する!
幽霊がナイフを使って刺殺するとは大笑いだ、
我らのサム・ホーソーンは犯人の正体と動機を見事に暴く!
この事件は殺すことが目的では無かったのです。
目撃者を作ることが目的だったのです。
何故ならば…。
続きは買って読んでね。

サム・ホーソーンの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)

サム・ホーソーンの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)