『断絶への航海』 ジェイムズ・P・ホーガン ハヤカワ

西暦2020年、人類初の恒星間無人移民(!)船<観音>号は、

太陽系を離れ、遥か銀河の奥深くへと、

移住可能な惑星を探す旅に出た。

そして、第三次世界大戦後の2040年、<観音>号から通信が入った。

人間が生存可能な惑星を発見したので、人間を創造すると!

かくして<観音>号のコンピュータは、電子記号に直した遺伝子情報から、

惑星ケイロンに人間を誕生させ、地球社会の無意味な教育は施さずに、

知的に論理的に教育し、地球上とはあまりにも異質な

(人間は教育されなければ人間にならない。狼に育てられた赤ん坊の精神は狼である)

人間社会のユートピアを出現させた。

だが、2060年、荒廃した地球からケイロンに移住しようと精神レベルの低い人間たちが

<メイフラワー二世>号で旅立った。
内部に宗教施設さえある精神のレベルが低い<メイフラワー二世>号の移民たちはケイロンで、

人間の常識と神の倫理と悪魔の知恵を遥かに越えたケイロン人に驚愕する。

狼が人間になるよりも、はるかなギャップがある。

人間たちはケイロン上でさまざまなトラブルを巻き起こす。

ケイロン人は神より上位の精神を持つ仙人をも越えている!

最高の魂とはコンピュータの魂にきまっとりゃーすがね!

とてつもなく素晴らしくて楽しい作品である。

異質のアイデアの噴流である。

普通のSF作家だったら長編10本分ぐらいになるだろう。

異質というのがワンアイデアで表現できると思っている想像力のないSF作家どもは反省するヨロシ。

政治形態とテックレベルが歴史に存在しなかった組み合わせであれば、

それで立派な異質な社会だと思っている自分で考える頭のない作家どもはサウナ風呂でのぼせ死んじゃえ!

スチームパンクは書く奴も読む奴も馬鹿である。

この作品の社会こそが本物のセンスオブワンダーに満ちた異質社会である。

そして、人類が進むべき理想の社会である。

ホーガンの作品は理想的すぎて綺麗事を並べただけと思う人でも、本書は楽しく読めるであろう。

婦女暴行するキャラも人殺しも、いっぱい、いっ〜ぱい、出てくるんだからァ!

ロリコンメカフェチもおまかせよ!ウフ。

断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)

断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)