『ネメシス』 アイザック・アシモフ  田中 一江訳  ハヤカワ

頭のイカレタ時期のアシモフのクサレチンポ作品群を、
SF関係者は誰もケナさず、SF界ってのは、
なんて頭の固い保守反動主義者の集まりかと思っていたが、
大森望本の雑誌で「ファウンデーションへの序曲」を読了できずに投げ捨てたと言ってました。
アホアシモフの開始作品「ファウンデーションの彼方へ」からボロクソに言われるべきなのに、
何故大森望が沈黙していたかというと、読んでなかったからである。
「〜序曲」は馴染みのあるハリ・セルダンの若き日を描くということで、
ニューアホアシモフを初めて読んで、読了する価値はないと判断したわけであるが、
「〜序曲」は実はマシな方なのである。
で、この「ネメシス」であるが、
この話とまったく同じ作品を名のない新人が書いたとしたら、絶対に出版されるわけがない作品である。
編集者は言うだろう。

”恒星移民テーマ?実は2光年の距離に存在していた太陽の伴星のネメシスに?
たった2光年なら超光速飛行というフザケタものを使用しなくていいからハードSFになるかな?
なんだって!超光速飛行がでてくるんだって!!

君はクラークの「遥かなる地球の歌」を読んでないんだね。

知っていたら恥ずかしくて超光速飛行なんてバカバカしいものは出せない筈だ。
まあいい、物理ハードSFでなくても社会派ハードSFってのもある。
で、移民先の世界は地球とはどんな具合に違う素晴らしい社会なのかな?
なんですとぉ〜!スペースコロニーをワープさせるので、
地球とまったく同じ社会常識が続くだと!!

君はホーガンの「断絶への航海」も読んでないんだね。

地球に干渉されない別の恒星系なら、
まったく別のメンタリティを持つ素晴らしい社会を描写できると思わないのか?
何の為に恒星移民するのかね?
太陽系はスペースコロニーでいっぱいで、
コロニー間で残り少ない資源を奪い合っていると?
そこでひとつのコロニーがネメシスを発見したと、
ネメシスへ行けば恒星系を自分たちだけの為に使える。
ネメシスを秘密にして太陽系を離脱すれば、
誰もがアルファ・ケンタウリへ向かったと思う筈で、

ヴォクトのケンタウリ効果で追い抜かれる心配もないと?

で、読者は主人公のコロニーが軍備を蓄えて銀河を征服するのを楽しみにして読めというの?
へっ?実はネメシスは太陽系に衝突する軌道を回っていたと?
それにネメシスには宇宙人がいると?
宇宙人とはもちろんテレパシーでコンタクトするだと!!
何10年前のアイデアかねそれは?
ま、アイデアやテーマが古くても小説としてキャラクターとストーリーが面白ければSFでなくても小説としては売れるかもしれない。
主人公たちのキャラは女性科学者に恋人に独裁的なリーダーに科学者の娘で、

敵側のキャラは・・・、おい!君はキャラ設定の原則も知らんのか!?
敵側には少女がいないだけで、まったく同じじゃないかね!
キャラがジェンジェン立ってないぞ!
主人公側と敵側が入れ替わっても何の変りもないぞ!
漫画家をめざす小学生でも知っているぞ!
主人公が長髪ならライバルは禿げというような原則は!
まあ、ストーリー展開が面白ければ・・・、
あ〜〜、カットバックという小手先のテクニックで誤魔化しやがって!

君はもちろんピアズ・アンソニイもP・J・ファーマーも知らないんだね。

この小説の読みどころは何なのかね?
恐竜絶滅原因のひとつとして話題になったネメシス騒動にのっかって、
とにかくネメシスを出せば新しいと思ったのだろう!

科学誌の新説ひとつだけで小説をでっち上げるポール・プロイスの弟子かね君は?

へっ、アイザック・アシモフだと?
巨匠といわれたあのアシモフがこんなクダラナイもんを書くわけないじゃないか。
冗談はやめてもっとSFと小説と科学の本を読みなさい。”

訳者は、差別用語を使用せずに、標準と共通の違いも知っているまともな訳者である。

日本語にできるのを手を抜いてカタカナ表記するセンスの悪さはあるが、
この訳者は信頼していい。

どうでもいいが、この作品も実はファウンデーションにリンクしている。
アレがナニと同じなんだもん

ネメシス〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ネメシス〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

ネメシス〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)

ネメシス〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)