『夜の子供たち』 ダン・シモンズ 角川文庫

本書のベストセリフ

マイクル・オルーク「ぼくは誰も殺すつもりはない。

          世界でいちばんたいせつな人を救うためでも。

          きみの命を守るためでもだよ、ケイト」


愛する者を守る為にジャンジャン人殺しをしましょう!

という小説が溢れている中、さすが、シモンズである。
敵は吸血鬼なので、殺人ではない、

化け物退治だと主張することも可能だが、

生き血を吸うから化け物なのではない。

生命体を無惨に殺せる存在が化け物であるというテーマが素晴しい。

ヒーローが殺生しないので、

ホラーアクションとして制限がついて、

単純なカタルシスは得られないが、

それでももちろん、残酷な吸血鬼どもは、

ラストでほぼ全滅します。

誰がどうやって吸血鬼退治するかはネタバレになるので書けない。

途中のストーリーの紆余屈折は退屈だが、

ラストは捻りが効いていていい。

「私を守る為に戦って!」

などと言う女は化け物扱いするのが知的な男である。

理由があれば殺生出来る存在は、

もともと、殺生が好きな存在だよね。

夜の子供たち〈上〉 (角川文庫)

夜の子供たち〈上〉 (角川文庫)

夜の子供たち〈下〉 (角川文庫)

夜の子供たち〈下〉 (角川文庫)