『ブラス城年代記』 マイケル・ムアコック 井辻朱美訳 創元

このシリーズはヒロイックファンタジーのふざけた常識に挑戦した素晴らしいSFである。

1巻では、現実逃避世界のファンタジー世界のヒーローであるべきホークムーンが、

シミュレーションボードウォーゲームにのめりこみ、

ひたすら過去の戦いを研究するのである。

もっとも面白い趣味はシミュレーションゲームであることを提示する素晴らしい作品である。


2巻では、なんとホークムーンが女になってしまい、

自分の恋人と百合族しそうになるのである。

性転換して同性愛に目覚めそうになってうろたえるヒーローがかつていただろうか?


そして3巻では、ムアコックの4大ヒーロー集結のエルリックサーガと重複するエピソードが語られ、

エルリックとコルムの最後の続きも語られ、

エルリックサーガでエルリックを何したアレに対して、

コルム亡き後のホークムーンとエレコーゼの共同攻撃が語られ、

最後にして最強の敵に、エルリックサーガで使用した一なる四者も、

コルムサーガで使用した三位一体も使えず、

エルリックより強いアレに対してのホークムーンとエレコーゼの戦いは、

エレコーゼの命も奪い、ホークムーンだけが生き残り、

剣も魔法も神々も消滅してしまうという、

ムアコックのすべてのヒロイックファンタジーの終局となる素晴らしい作品である。

ムアコックのすべてのファンタジーを読んだ後に読むこと。

ブラス伯爵―ブラス城年代記〈1〉 (創元推理文庫)

ブラス伯爵―ブラス城年代記〈1〉 (創元推理文庫)

ギャラソームの戦士―ブラス城年代記〈2〉 (創元推理文庫)

ギャラソームの戦士―ブラス城年代記〈2〉 (創元推理文庫)

タネローンを求めて―ブラス城年代記〈3〉 (創元推理文庫)

タネローンを求めて―ブラス城年代記〈3〉 (創元推理文庫)