『エリック・ホッファー自伝―構想された真実』 作品社

哲学者というものは、アカデミズムに閉じこもって、

語る必要のない無意味な事を考える馬鹿かと思っていたが、

65才まで肉体労働者として暮らし、

余暇として哲学者デビューしたこんな凄い人もいたんですね。
哲学というと悪いイメージもあるので(えっ、俺だけ?)

著者の名誉の為に言っておくなら、

哲学者というよりは、箴言者か?

難解な無意味な哲学用語はいっさい使わず、

どう生きるべきかを教えてくれる本物の人生哲学の書。

希望より勇気が大事というのはホント判り易くて感動します。

絶望に勇気を持って立ち向かう人生が一番面白いよね!

そして、生きる情熱は狂信にならないように注意するべきと、

語っているのもグッド。

著者は5歳で失明し15歳で視力が回復したが、

18歳までに両親も亡くしているので、

正規の学校教育は受けてないが、

オレンジ売り、ウェイター、季節労働者(農作業)、

炭鉱夫、港湾労働者として働きながら、

ひたすら本を読む毎日という、

理想の人間の一生を送った。

知識欲だけで性欲がないと完璧だが、

さすがにそれは嘘臭いので、

ウェイター時代に客の女子大生をナンパして、

ラブラブファイヤーになる描写もちゃんと書いています。

28歳の時、同じような繰り返しの生活に絶望し、

自殺を計るのだが、

青酸カリが入手出来ないので、

まずい毒を飲んだら吐いてしまい、未遂に終わる。

自殺衝動をどう克服したかというと、

何故生きるか?の疑問を、

どこで生きるか?に摩り替える事に成功したのである。

ここで、生きられないのなら、

別のところで生きればいい。

定職を捨て、著者の放浪の旅が始まる。

悩む暇があったら、どこかへ歩き出してみよう!

「立てば?立ってから考えましょ」

アニメネタ落ちスマソ。
http://roko3.cocolog-nifty.com/tuiteru/2007/07/post_e22d.html

エリック・ホッファー自伝―構想された真実

エリック・ホッファー自伝―構想された真実