『カメレオンの呪文』 魔法の国ザンス① ピアズ・アンソニイ 早川文庫FT
カメレオンの呪文―魔法の国ザンス1 (ハヤカワ文庫 FT 31 魔法の国ザンス 1)
- 作者: ピアズ・アンソニイ,山田順子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1985/12/01
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 98回
- この商品を含むブログ (22件) を見る
シリーズ物でヒーロー物というと、
ただ面白いだけの活劇であろうという印象を抱くであろうが、
ザンスシリーズは一作ごとに、「えっ!」と驚く(「あっ!」と驚くものもあるw)
ラストが用意されていて良いのである。
ファンタシイの形をとったSFミステリですな。
「カメレオンの呪文」をハードSFならぬハードファンタジーと呼ぶ人がいたぐらいである。
私はハードというよりは論理的ファンタシイと呼んだ方が良いと思う。
SF関係に限らず、アクション物の常識を逆手にとったというか、
楽しむSFが嫌いな人に対して、読み取らせることに挑戦したというか、なんとも凄いファンタシイである。
現代のフロリダ半島にシールドに包まれた魔法の国ザンスがあった。
ザンスの生物はすべて魔法的生物(ドラゴン、ケンタウルスetc…)か、
肉体が普通の人間体の者は魔法の力をひとつだけ持っていた。
ところが主人公は魔法の力が成人しても発現しない!
25歳までに魔法の力が現れないと、人間界へ追放されるのが掟である。
かくして主人公ビンクは25歳になる一ヶ月前に、自分の魔法の力を教えてもらう為に、
良き魔法使いハンフリーの元へと旅立った!
最初の設定が巧い。主人公が登場人物の中で一番弱いできそこないなのである。
超能力者と超常的生物の世界において、単なる普通人を主人公に持ってくるとは!
魔剣を持つと強くなるとか、アンプリファイヤだったとかではありません。
主人公だから実は最強の魔法の力を持っていたのだが、
反則スレスレの無敵の魔法の力です。
馬鹿にせずに真剣に考えて読めば主人公の力は必ず判る。