『ボルヘスとわたし』 J・L・ボルヘス 牛島信明訳 ちくま文庫

ボルヘスとわたし―自撰短篇集 (ちくま文庫)

ボルヘスとわたし―自撰短篇集 (ちくま文庫)

小説になってない出来損ないの短編小説(実際は単なる粗筋のレベル)と、ムカツク自慢話と、

屑の自作小説を自分で解説し意味ありげな価値を付けようとしている駄文の集りであって読む必要はない。

衒学趣味に惹かれる人もいるかもしれないが、

二流のSF小説でも補填出来るレベルの教養で、ボルヘスはたいした知識人ではない。

いきなり「アレフ」という短編から始まるのでチョー期待したが、

球体として実体化したアレフ0がアルゼンチンの街角に佇んでいるのを発見するだけの話であり、

ボルヘスの知識の無さには笑った。

SF小説にはアレフ1を球体として実体化させてしまう話もあるので、

ボルヘスの知識は古すぎて笑ってしまう。

知識が古くても、小説としてのストーリー展開やキャラクター造形が面白ければ読むに耐えるが、

ボルヘスは全部ヘタクソすぎる。

ボルヘスの「アレフ」球体の描写というか能力は、

宇宙英雄ローダンシリーズの「ハルノ」にクリソツであるが、

ハルノとハルナハン軍曹の物語の方が遥かに純粋に感動出来る。

ボルヘスがこんなに屑だったとは、期待はずれもいいとこだ。

屑の癖に自分を一流に見せようと哀れな努力しているのは涙を誘う。

マルケスは自分の欠点に気づいていて、それをギャグにする余裕というか、

サービス精神というか、茶目っ気があるが、

ボルヘスは自分の欠点を個性溢れる長所だと思っているように読める。

誰も書かなかった素晴らしい理想の小説をボルヘスは提示したと思い込んでいるが、

普通の人間にはボルヘスのような屑小説は

恥ずかしくて書けなかったというのが事実に即していると思われる。