『探偵の条件』 リンク&レビンソン 小鷹信光 訳 二見文庫
新・刑事コロンボ 探偵の条件 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者: W・リンク,R・レビンソン,小鷹信光
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 1997/06
- メディア: 文庫
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TV版よりトリックとコロンボの仕掛ける罠が深くて面白い。
サム・マーロウという私立探偵のキャラがいい。
名前からしてサム・スペードとフィリップ・マーロウのパロディだと思うが、
TV版ではアリバイ工作の写真の謎を解くのがクライマックスだが、
本書ではその後に、探偵が盗聴していたテープが物証として効いてくる。
ハードボイルド馬鹿の探偵が入手したテープだから、物証としても弱いが、
もちろん、コロンボが完全な物証に思えるようなイカサマを、犯人に仕掛けるのだ。
知的論理の面白さを捨てたハードボイルド探偵への
見事なパスティーシュになっているという解釈も成り立つ。
独特の美学に基づくテープの捻くれた隠し場所にコロンボは簡単に気付くが、
犯人が気付かないのはやや弱いが、一応、伏線もあったということで、まあ、許容範囲だろう。