『カインの娘たち』 コリン・デクスター 大庭 忠男訳 ハヤカワミステリ文庫148−12

カインの娘たち (ハヤカワ・ミステリ文庫)

カインの娘たち (ハヤカワ・ミステリ文庫)

モース警部シリーズ Eps.30~カインの娘たち [VHS]

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本格推理というよりは、単なるキャラやドラマを見せる警察ものに成り下がった。
ラスト100ページでやっと2転3転するが、
その前の400ページを読むのは苦痛であった。
透明な袋に死体を入れて処分するネタやら、
第一の犯人=第二の被害者ネタ、
凶器の入手時間の誤魔化しネタ、凶器同一ネタ等は、
E・D・ホックが短編として書けば、もっと面白くなったと思う。
デクスターは本格推理と言われるが、
謎の提示編と解決編を明確に分けないので、
作家になりたい人は、これを再構成して書くと、
それなりに面白い作品になると思う。
第二の殺人を導入部にして、
被害者は実は殺人犯であったと証し、
凶器は被害者が前に殺人で使用した凶器であった!
自殺は考えられないと明示した密室ものにし、
ならば、殺された第一の被害者の幽霊が犯人なのか!
と臭わせる不可能犯罪ものにすると面白いと思う。
本作は、パクり易いが、
「別館3号室の男」を判りやすく再構成すると、
ブラウン神父もののアレになってしまうので気を付けるように。