『消えた装身具』 コリン・デクスター 大庭 忠男 訳 ハヤカワミステリ文庫148−9

消えた装身具 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

消えた装身具 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

The Jewel That Was Ours

ウッドストック行最終バス」と「キドリントンから消えた娘」で
人気大爆発したデクスターだが、本作は並み以下の推理小説である。
読まなくていい。これ、元々小説としてプロット立てたんじゃなくて、
TVドラマ用の脚本を小説に書き直した物である。
コロンボの小説と同じパターンだが、
はっきり言って、コロンボ以下である。
デクスターの魅力は推理が(モース警部の妄想が)、2転3転どころか、
4転5転して、事実とモースの妄想がごちゃごちゃになっていくところだが、
本作は1転するだけである。
元はTV用だけあって、視聴者を泣かす事がポイントらしい。
二つの意味がある原題をラストでモースが叫ぶ所で泣いてくれということだろう。
推理小説が論理でなくて、感情に訴えてどうする?
デクスター版「人間の証明」というべき駄作である。