『殺人者の顔』 ヘニング・マンケル 創元推理文庫

殺人者の顔 (創元推理文庫)

殺人者の顔 (創元推理文庫)

"刑事クルト・ヴァランダー"シリーズ第一作。

真面目で上品で無駄が無くてデラ好み。

本格推理としてはワクワク感もサプライズも無いが、

福祉国家・人権擁護国家のスウェーデンの刑事達がとても魅力的。

被害者が70過ぎの老人夫婦でも、

正しく殺人者に怒りを燃やす主人公達はまともである。

老人を尊重し、若者に媚びない大人の為の警察小説。

主人公は妻に逃げられ、一年間セクースしてないので、

仕事で知り合った人妻を思わずレイプしそうになるのだが、

女に平手打ちをくらわされ正気に帰り、

恥ずかしくて消えてしまいたいと思うのが魅力的。

男に都合の良い性欲を受け止めてくれる女なんかに遭遇しないという

真っ当な話である。

娘とも仲が悪く、イアン・ランキンのリーバスシリーズに似ている。

リーバスほどぶっとんだキャラではないが、

とても期待出来る。

マスゴミ批判や人種差別問題とか、

社会性溢れるテーマ性はいいが、

直感や偶然の要素があるので、推理小説としては並以下。

日本が恐怖の全体主義国家になった時、

亡命する候補としてスウェーデンもありだな。

スウェーデンは無条件に移民を受け入れ、

現在の人口の五分の一は、元ぎゃあじんだそうです。

ルーマニアファシスト政権についていた人物でも、

とりあえず国内には入れる。

審査して国外退去ということも有り得るが、

亡命希望者が多過ぎて、

国内の移民逗留バラックの管理が間に合わず、

住むところを提供するが、スウェーデン人の管理人がいない施設もゴロゴロしていて、

退去させようと思っても、別の施設に勝手に移住してたり、

どこかに消えていることもあるそうです。

偉そうな男の管理人は居なくても、

食堂のおばちゃんは居るのはさすが福祉大国!

日本が地獄になったら、

さあ、みんな、歩いて(泳いで)スウェーデンに移住しよう!!