『白い雌ライオン』 ヘニング・マンケル 創元推理文庫

白い雌ライオン (創元推理文庫)

白い雌ライオン (創元推理文庫)

"クルト・ヴァランダー"シリーズ第三作。

推理小説としては200Pで崩壊!

スウェーデンの田舎刑事がKGB工作員

南アフリカの一殺2500万円の殺し屋と戦う謀略小説になりますw

中盤の盛り上がりに、これはああなるな!

ともの凄くワクワクしたのだが、

それをやったら『リガの犬たち』 と同じパターンと揶揄されるのを避けたのか、

期待通りの展開にならなくて残念だった。

南アフリカ共和国での描写が無駄に過ぎると思う。

国際的視野のモチーフで、

男女の愛でも人種差別の壁は突き崩せないというテーマは良かったが、

小説としてのワクワク感が足りないのが欠点。

文学としては、ズールー系アフリカ黒人の描写に拍手するべきだろう。

エンタメより文学の好きな人が高評価する作品だね。

クルト・ヴァランダーの同僚刑事のトラウマまで語られて、

無駄な描写が多すぎると思うが、

スウェーデンとロシアと南アが絡む小説なんて、

ヘニング・マンケル にしか書けないだろう。

オンリーワンの作家としてヘニング・マンケル は高評価します。

プロットや描写はヘタクソだが、

主人公が魅力的なのはいい。

世界的視野に覚醒している主人公は、

国内法を破ることが多々あるが、

不法行為をする時は、警官としての権力を頼らずに、

秘密裏に個人として行うのがかっちょええ!

公私の区別がついている素晴しい男である。

駄目息子、駄目夫、駄目親父、駄目警官の主人公が、

世界を救うという夢のある話である。

書き方が悪いだけで、

ヘニング・マンケル が書きたいと思っていることは応援したくなります。