『猟犬探偵』 稲見一良 光文社文庫

猟犬探偵 (光文社文庫)

猟犬探偵 (光文社文庫)

行方不明や盗まれた猟犬の捜索を専門に行う

私立探偵竜門卓シリーズを四編収めた短編集。

『セント・メリーのリボン』 の表題作も竜門ものだが、

クロニクル的に後のエピソードが収められているので、

これを読む前に『セント・メリーのリボン』 を先に読む事をお勧めする。

セント・メリーが再登場するエピソードも収録されてまっせ!

私がこの短編集で一番巧いと思ったのは、

ハードボイルドファンタジィとでも言いたくなる一個目の作品である。

短編として見事な落ちのセリフで綺麗にまとまっています。

残り3つはテーマやプロットの切れがやや悪く感じた。

猟犬専門と言いながら、馬やトナカイを探す羽目になるシチュエーションが面白い。

作者が生きていればこのシリーズは、

妖精や恐竜やニャントロ星人の探索までに発展しただろう。

最後は円卓の騎士として竜の探索をしたに違いない。

捨てろタイプな都会派のハードボイルドに飽きている人はぜひ読んで下さい。