『男は旗』 稲見一良 光文社文庫

男は旗 (光文社文庫)

男は旗 (光文社文庫)

本書のベストセリフ

「初めから終わりまで、

つまらない言葉の羅列に尽きるシロモノをジュンブンガクという。

だが眠れない夜、

眠剤としては効果がある、

と言った男がいる。

第一、純文学とか通俗文学なんて区別するのは日本だけだ。

わたしが書きたいと思うのは、

ハルヲ・サトーのいう"根も葉もない嘘八百"だ。

物語の中の男や女と一緒になって、

ワクワクドキドキする小説だ」


登場人物のぎゃーじん作家のセリフだが、

これはそのまま稲見一良 氏の心情でもあろうな。

本書はなんと、現代海洋冒険小説である。

西村寿行 以外に現代海洋冒険小説なんて書いた日本人はいないと思っていたが、

さすが稲見一良

船籍の無い海賊船として日本を出航する前に、

暴走族退治のオマケがあるのが、デラ楽しい。

狭い日本の中で無頼を気取っているのは笑うよな。

男なら海へ空へ旅立つべきである。

船だけでなく、飛行艇二式大艇12型も分捕って旅立つ壮大な物語である。

海上保安庁自衛隊と戦うエピソードも読みたかったな。

潜水艦なだしおやイージス艦あたごに殺された人々の遺族が、

シリウス二世号を作って自衛隊に復讐するという物語、

誰か書かないかなw