『拳銃を持つヴィーナス』 ギャビン・ライアル 早川ミステリ文庫
- 作者: ギャビンライアル,小鷹信光
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/02
- メディア: 文庫
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この作品の一エピソードにしかすぎない究極の美術ミステリ。
ミステリ=殺人=拳銃ということで、
拳銃と美術ネタが完璧に融合した見事なトリックが出てくる
美術ミステリの完成形。
美術ファンは他の芸術ファンも兼ることが多いが、
音楽ネタでパブロ・カザルスが出てくるのも文句無し!
ゴヤを生んだ世界一の美術大国のスペイン人女性が、
ニカラグア大統領になる為に美術館を建てようとする話である。
展示品購入費用は2億5千万£!
主人公のチームは絵の買い付けにヨーロッパ中を駆け巡る!
大金に惹かれ危険な奴等が来る!
ラストの大ピンチに拳銃が無い状況に追い込まれており、
弾丸から自作始める場面は、
デズモンド・バグリィ の『高い砦』 を彷彿させ大興奮しました。
直裁なセ○○スシーンは無いが、
男女が共同して食器を洗うシーンがあり、
例によってジェンダー観も素晴しい!
フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス や
ダ・ヴィンチやラファエルロの話題とともに、
ジョルジョーネの幻の絵画「拳銃を持つヴィーナス」への
伏線になってるのが巧いです。
小説タイトルは暗喩だと誰もが思うが、
固有名詞だったとは憎いねぇ。
このネタを超えるには、
「核ロケットランチャーを背負うモナリザ」ぐらいしかありえないが、
そんなもん贋作だと誰もが判るので、
この作品が美術ミステリとして上限ということです。
ライアル全15作品でこれが一番好き!
ところでライアルは元新聞記者だが、
元新聞記者の小説家は素晴しい!というMY法則を確立したいが、
元新聞記者の小説家、他にもいたら教えてチョンマゲ。
日本の新聞記者はダメポだろうけどw